【プレミアリーグ展望】勝ち点を落とせないマン・シティとトッテナム、浮上したいチェルシーとリヴァプール
今週のプレミアリーグは見どころが満載だ。
アーセナル対マンチェスター・ユナイテッドの一戦はプレミアリーグの優勝の行方を占う重要な大一番となる。しかし他にも勝るとも劣らない注目カードが目白押しと言っていい。
中でもマンチェスター・シティ対トッテナム、リヴァプール対チェルシーのビッグ6同士の対決は見逃せないところだ。
マンチェスター・シティ対トッテナム
第7節の延期分として行われる一戦。
マンチェスター・シティにとっては立ち止まることが許されない試合となる。
近年プレミアリーグの覇権をリヴァプールとともに争ってきたシティだが、今シーズンはアーセナルの後塵を拝している。第20節終了時点で首位との勝ち点差は「8」。まだ多くの試合数が残っているとはいえ、これ以上引き離されることになれば優勝への望みは薄くなってくる。
もっとも、なかなか結果が伴わない試合が続いているというのが実情だ。
ケヴィン・デ・ブライネやベルナルド・シウバ、ジャック・グリーリッシュらを擁する中盤のクオリティは相変わらずトップクラスで、どの試合でもゲームをコントロールしているのは基本的にシティだ。選手一人一人のスキル、選手の配置の的確さと戦術理解度の高さは今なお称賛に値する。新エースとして加わったアーリング・ハーランドの破壊力も抜群。18試合を消化した時点で46得点はダントツのリーグ1位である。
しかし、勝ち点を落とす試合も増えてきている。
ここ5試合では2勝2敗1分け。ブレントフォードに敗れ、降格圏に低迷するエヴァートン戦でも勝ち点2を失った。特にエヴァートン戦では高いクオリティを示しながらも得点を決めきれず、相手にワンチャンスをいかされてドローに終わってしまった。
そして第20節のユナイテッド戦では逆転負け。”疑惑の判定”の同点ゴールなど不運な面はあったものの、いい時期のシティであれば一つの不利を吹き飛ばすくらいのパワーがあった。あまり良くない流れが続いてしまっているのが実情だ。
それだけに、ここで流れを断ち切りたいところ。スパーズに勝利できれば、暫定ながらアーセナルとの勝ち点差を5に縮めることができる。週末のウォルヴァーハンプトン戦に勝利し、アーセナルがユナイテッドに敗れた場合は一気に「2」まで接近する可能性も。
一つの鍵となるのがハーランドと周囲の関係性だろう。
元ドイツ代表のディートマー・ハマン氏はユナイテッド戦後に「40ゴールを決めていたとしても、シティはハーランドがいないほうがいいチームだ」とコメント。ペップ・グアルディオラ監督も「彼をファイナルサードでもっと見つけ出さなければならないかもしれない」と話している。
ハーランドが9番として前線に君臨する今季、確かに多くのゴールを決められている。しかしその代償としてビルドアップの面では「昨季のほうがクオリティが上」と指摘する声も少なくない。FWが中盤まで落ちてビルドアップ時の選択肢が多かった昨季のほうが試合運びの面では安定していたからだ。
この課題を解決できるのか。あるいはハーランドが有無を言わせぬ得点力でスパーズを沈められるのか。いずれにせよ、難敵相手にも勝ち点3を積み上げたいところだ。
対するトッテナムもなかなか波に乗れないシーズンを送っている。前節はアーセナルとのノースロンドンダービーに0−2で敗れ、こちらも近5戦は2勝2敗1分け。勝ち点38で並ぶ3位ニューカッスルと4位ユナイテッドとは勝ち点差が5に開いた。
攻撃面は37得点とリーグ3位の成績を残しているものの、守備面がやや不安定。27失点はリーグ11位タイで、安定しているとは言えない状況だ。アーセナル戦では守護神のウーゴ・ロリスがプレミアリーグでのキャリアで初となるオウンゴールを記録してしまうなど、リーグ直近5試合で9失点中。
シティの強力攻撃陣をいかにしのいでいくかがポイントの一つになりそうだ。
中位にとどまるチェルシーとリヴァプール
ビッグ6ながら中位に位置しているのがチェルシーとリヴァプール。
チェルシーはシーズン途中にブライトンからグレアム・ポッター監督を引き抜き浮上を図ったが、勝ち点28の10位に低迷。近5戦も2勝2敗1分けと、悩ましいシーズンが続いている。
対するリヴァプールもブレントフォードとブライトンに連敗中。勝ち点は同じ28で、順位を9位まで落とした。
結果以上に深刻なのは内容が芳しくないことだ。前述のマンチェスター・シティは勝ち点を落としたケースでも試合をコントロールできている場面が多く、監督が描いたゲームプランは一定の水準で遂行できていると推測される。
一方、リヴァプールは内容も伴っていないのが現状だ。特に前節のブライトン戦では相手チームに終始主導権を握られる展開に。ユルゲン・クロップ監督も「これほど酷い試合は記憶にない」と語ったほどだった。
そんな中迎える強豪同士の好カード。どちらが浮上のきっかけをつかむのか、注目されるところだ。
※データは1月16日終了時点