カタール2022が夏ではなく11月に行われる理由を解説

FIFAワールドカップの長く輝かしい歴史において、いくつもの前例を覆す大会となるカタール2022。FIFAがこの中東の小国を開催国に選んだ際には、その決定を疑問視する声も上がっていた。

ワールドカップが中東で行われるのは2022年大会が初めて。FIFAはこのエリアで2030年までに最低1回は国際大会を開催することを約束しており、その公約を守った形になる。

これは地理的な意味で歴史的な決断だったが、カタール2022は11月に開幕して12月に終了する。つまり今大会は、北半球の冬に初めて行われるワールドカップでもあった。

当初はこの決定に対し、各国リーグのシーズンに大きな影響を及ぼすことから反対意見が続出した。それでもFIFAの信念は揺るがず、カタールを開催国とする決定が覆ることはなかった。

2022年大会が冬に開催される理由は?

夏の中東は厳しい暑さに見舞われるため、北半球の冬にワールドカップを開催する案は、2022年大会の招致を目指すカタールにとって極めて大きな意味があった。

このアイデアに対しては、開催地がカタールに決まった2010年当初から反対意見が上がっていた。しかし、FIFAは2014年と2015年の2回にわたって現地でフィジビリティ(実現可能性)を調査。これまでのように6月から7月にかけて大会を行うことは不可能との結論に至った。

カタール・スターズリーグは通常、9月に開幕して4月にシーズンが終了する。これは夏季の酷暑を避けるためで、4月末には平均気温が33℃に達する。

カタール2022招致委員会はこの酷暑と湿度への対応に加え、冬季でも快適に試合を開催・観戦できるようにするため、ワールドカップで使用する各スタジアムに「集中冷却」空調システムを完備することを決めた。

カタールの冬の気温は?

 

冬のカタール、とりわけドーハ周辺の平均気温は21~25℃。これが夏には37℃にはね上がる。

平均気温(℃) 
1月  25
2月 20
3月 21
4月 22
5月 33
6月  35
7月 36
8月 37
9月 33
10月 31
11月 24
12月 21

カタールでワールドカップが開催される理由は?

カタールは2010年の最終投票により、オーストラリアや日本、韓国、アメリカといったライバルを抑えて開催国に選ばれた。

この決定を下したFIFAは直後から批判され、買収疑惑さえ浮上したものの、カタールの招致委員会側は一貫してこれを否定。FIFAもカタールでワールドカップを開催する方針を貫いた。

のちに汚職容疑で辞任に追い込まれるゼップ・ブラッター元FIFA会長は、この決定をアラブ諸国と西側諸国の関係を深めるためのポジティブな一歩と表現した。

ブラッター元会長は2010年にこう語っている。「アラブ諸国はワールドカップを開催するにふさわしい。この地域には22の国があり、これまで一度もこの大会を行うチャンスに恵まれなかった」

ワールドカップ2026はカナダ、メキシコ、アメリカで開催され、こちらも大会史上初の3カ国共催となる。

ワールドカップ2022日程

ワールドカップ2022は11月20日(現地時間)に開幕。アル・バイト・スタジアムで行われる初戦では、ワールドカップ初出場となるグループAの開催国カタールとエクアドルが激突する。

  • 11月20日:ワールドカップ2022開幕戦(カタール vs エクアドル)
  • 12月2日:グループステージ終了
  • 12月3-6日:ラウンド16
  • 12月9-10日:準々決勝
  • 12月13-14日:準決勝
  • 12月17日:3位決定戦
  • 12月18日:決勝