サッカー日本代表、初招集5人のプレースタイルは? 経歴や特徴を紹介
第2次森保ジャパンの初陣となるウルグアイ代表戦(3月24日)、コロンビア代表戦(3月28日)に向けた、サッカー日本代表のメンバーが3月15日に発表された。その後、負傷した選手の代替で2選手が追加となり、合計5人の若き才能が日本代表初招集を受けた。ここでは、初めて日本代表に名を連ねたバングーナガンデ佳史扶、半田陸、町田浩樹、藤井陽也、中村敬斗の経歴や特徴を紹介する。
バングーナガンデ 佳史扶
- ポジション:DF
- 背番号:5
- 所属:FC東京
- 生年月日:2001年9月24日
- 身長/体重:176cm/74kg
高いフィジカル能力と多彩で正確なキックが持ち味のサイドバック。フリーキックやコーナーキックのキッカーを務めることもあり、左足の精度は高い。長友佑都、太田宏介、小川諒也と日本代表の左サイドバックを輩出してきたFC東京の、新たなタレントがバングーナガンデ佳史扶だ。
東京都足立区出身で、中学時代からFC東京一筋。2020年にJ1デビューを飾り、小川諒也の海外移籍に伴い2022年に出場機会を増やした。17試合に出場し、プロ初得点も記録している。同年はU23アジアカップの代表にこそ選ばれなかったが、その後はパリオリンピックを目指すU-21日本代表として欧州遠征にも参加した。
パリ五輪世代ながら、一足飛びでA代表初招集をつかんだバングーナガンデ。所属チームの先輩、長友が長くポジションを守ってきた左サイドバックを射止めることはできるだろうか。左サイドには三笘薫という日本が誇るタレントがおり、彼との相性というのも重要な要素になるだろう。
半田 陸
- ポジション:DF
- 背番号:27
- 所属:ガンバ大阪
- 生年月日:2002年1月1日
- 身長/体重:176cm/63kg
モンテディオ山形アカデミーの最高傑作とも呼ばれる半田陸。右サイドバックを主戦場としている。
中学時代から山形に在籍し、16歳だった2018年に2種登録。2019年には早くもプロ契約を結び、公式戦6試合に出場した。順調に出場機会を増やしていき、2021年は37試合、2022年は35試合に出場。J1昇格プレーオフ出場に貢献した。海外移籍の報道も出ていた中、2023年にガンバ大阪へ完全移籍。代表合流直前のJ1第5節北海道コンサドーレ札幌戦ではJ1初アシストも記録した。
U-14世代から世代別日本代表の常連でもあり(U-14は日本選抜)、キャプテンを務めていたことも。U-17ワールドカップやAFCU23アジアカップなど、国際舞台の経験もすでに豊富な選手だ。札幌戦でアシストを記録したように、正確なキックが持ち味。過去にはセンターバックとしてプレーしていたこともあり、高い守備能力も備えている。
町田 浩樹
- ポジション:DF
- 背番号:16
- 所属:ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー
- 生年月日:1997年8月25日
- 身長/体重:190cm/80kg
今回の初招集選手では最年長、25歳の選手だ。その特徴はなんといっても希少な左利きのセンターバックという点。4バックや3バックの左側はもちろん、左サイドバックでの経験もある。正確なフィードで攻撃の起点になるプレーは彼の十八番だ。セットプレーの得点源としても機能し、2021年はJ1で34試合5得点を記録している。
小学4年生から15年間、鹿島アントラーズに在籍。J1通算81試合、AFCチャンピオンズリーグ10試合などに出場し、2022年1月にベルギー1部のユニオン・サンジロワーズに期限付き移籍した。ユニオン・サンジロワーズでは三笘薫ともプレー。町田が3バックの左、三笘が左のウイングバックという布陣もよく見られた。
昨シーズンの終盤は定位置をつかみ、優勝チームを決めるプレーオフでも出場停止の1試合を除いて全試合に出場。しかし今シーズン前半は負傷によりリハビリ生活を強いられることに。2023年1月の復帰直後は出場機会を確保したが、直近の3試合はベンチ入りも出番なし。日本代表での活動を、レギュラー奪還へのきっかけにしたいところだろう。
藤井 陽也
- ポジション:DF
- 背番号:24
- 所属:名古屋グランパス
- 生年月日:2000年12月26日
- 身長/体重:187cm/82kg
小学生時代から名古屋グランパスに所属する、生え抜きのセンターバック。高校3年次に2種登録され、ルヴァンカップでトップチームデビューを飾った。3試合に出場したものの、トップチームへの昇格内定が発表されたのは同年12月。同年4月にプロA契約を結んだ菅原由勢、8月に昇格が決まった成瀬竣平という同学年の2人と比べて、進路の決定がやや遅かった選手だ。
丸山祐市、中谷進之介といった日本代表経験者がいる中で出場機会はなかなか得られなかったが、2022年に転機が訪れる。長谷川健太の就任、3バックへの移行とともに、定位置を確保。主に丸山、中谷の両先輩に挟まれる形で3バックの中央を務め、自身最多の31試合に出場するなど飛躍を遂げた。
持ち味はハードな対人守備と高さを生かした空中戦、そして機を見た攻撃参加だ。インターセプトからそのままドリブルで持ち上がり、数的優位を作り出す場面は彼の得意とするプレーの一つ。代帯招集という立場ではあるが、日本を背負って立つ可能性のある楽しみな選手だ。
中村 敬斗
- ポジション:FW
- 背番号:7
- 所属:LASK/オーストリア
- 生年月日:2000年7月28日
- 身長/体重:181cm/75kg
各チームのアカデミーで英才教育を受け、トップチームデビューを果たしてきた上述の4人とは異なるキャリアを過ごしているのが中村敬斗だ。中学時代は三菱養和巣鴨、高校時代は三菱養和SCと東京の街クラブ出身。U-17ワールドカップでの活躍などが認められ、2018年に高校2年生でガンバ大阪とプロ契約を締結を果たすという、異色の経歴の持ち主だ。
G大阪ではいきなりJ1開幕戦出場を果たし、2019年にはルヴァンカップでニューヒーロー賞を獲得。そういった輝かしい面の裏側で、J3に参戦していたU-23チームでベンチに座るなど苦い経験もあった。その後は2019年にオランダ1部のトゥエンテに海外移籍したが、序盤以降はなかなか出番を得られず。ベルギー1部のシントトロイデンVV、オーストリア2部のFCジュニオールと渡り歩くことになった。
ここでのプレーが転機となり、2021年8月に1部のLASKへ完全移籍。1年目のシーズンは22試合6ゴールで信頼をつかみ、今シーズンは21試合ですでに11ゴール6アシストと出色の数字を残している。この活躍が認められ、今回のA代表初招集に至った。
結果が語っているように、その特徴はゴール前で決定的な仕事ができる点にある。左ウイングが主戦場で、ドリブルやシュートは一級品。若くして欧州で揉まれてきたメンタリティー、強気なプレーは観るものをひきつける魅力がある。三笘薫という最大のライバルがいるものの、インパクトを残してジョーカー候補に名乗りを上げたい。