チッチ監督 — ブラジルをワールドカップ優勝の栄光に導く仕事を託された男
ブラジルはワールドカップの歴史で最も成功した国かもしれない。だが、2022年のカタール大会で彼らが目指しているのは、20年ぶりとなるタイトルだ。
ランキングで出場チームトップのセレソンは、今回のワールドカップにおける優勝候補の一角だ。
2021年7月のコパ・アメリカ決勝でアルゼンチンに敗れて以降、南米の巨人は17試合連続で無敗を保っている。
今年こそ、ブラジルが6度目の世界王者となるのか? ブラジル代表を率いるチッチ監督がそうなることを願っているのは確かだろう。
ブラジル代表のチッチ監督とは?
ブラジルの6度目のワールドカップ優勝への望みは、チッチ監督の両肩にかかるところが大きい。
61歳の指揮官は30年以上にわたる指導者キャリアを持ち、2016年からセレソンを率いている。
指導者に転身するまで、チッチはブラジルの下部リーグでMFとしてサッカー選手をしていた。だが、ケガによりキャリアが短くなり、現役時代にブラジル代表になることはなかった。
本格的にチッチ監督が指導者としてのキャリアを始めたのは、現役時代に最も多くの試合に出場したクラブ、カシアスだ。
2度にわたってUAE(アラブ首長国連邦)で指揮を執ったのを除けば、チッチ監督はほとんどブラジルのクラブで采配を振るっていた。
ブラジル代表の指揮官に就任するまでに、チッチ監督はコリンチャンスで300試合以上を戦い、素晴らしい成功の記録を残している。
また、チッチ監督は一時期、元ブラジル代表監督であるルイス・フェリペ・スコラーリに師事していた。
ブラジル代表監督チッチの契約とサラリー
2016年から指揮を執るチッチ監督とブラジル代表の現行契約は、カタールでの2022年FIFAワールドカップまでとなっている。
2018年のワールドカップで準々決勝敗退に終わったにもかかわらず、ブラジルは大会後にチッチ監督との契約を4年延長した。
『Finance Football』によると、ブラジル代表でのチッチ監督のサラリーは、年俸350万ドル(約4億8300万円/1ドル=138円換算)。これは2022年ワールドカップに出場している国の中で4番目に高額のサラリーとなる。
ブラジル代表でのチッチ監督の成績
直近はタイトルこそないものの、ブラジル代表でのチッチ監督の成績は見事なものだ。2022年ワールドカップを前に、チッチ監督の下でブラジルが負けたのは、76試合のうち5試合だけだ。
61歳の指揮官は、ブラジル代表で約75%の勝率を記録している。これは彼の指導者キャリアの中でも最高の数字だ。
セレソンでのチッチ監督の最大の勝利は、ホンジュラスに7-0と圧勝した2019年の親善試合だ。
試合 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 |
78 | 60 | 13 | 5 | 173 | 30 |
*2022年11月28日時点(スイス戦後)
チッチ監督の戦術と指導スタイル
ブラジル代表の指揮官になってから、チッチ監督は主に4-2-3-1のフォーメーションを用いている。だが、4-4-2や4-3-3を採用することもあった。
チッチ監督がブラジル代表を率いて敗れた5試合のうち4試合は、指揮官がより攻撃的な4-3-3のフォーメーションで臨んでいる。
チッチ監督はチームが高い位置からプレスをかけることを好むが、攻守の切り替えでチームに同じインテンシティーを要求することはない。
攻撃では、ブラジルはウィングの選手たちをサイドラインにほぼ張りつけてワイドに戦うことを好む。守備のカバーとしては後方に3人の選手を残す。
チッチはW杯優勝を経験? ブラジル代表監督の獲得タイトル
チッチ監督がFIFAワールドカップで優勝したことはない。だが、2012年のFIFAクラブ・ワールドカップでは、コリンチャンスを率いて決勝でチェルシーを1-0と下して優勝している。
これまでにブラジル代表で獲得したタイトルは、2019年コパ・アメリカの1つだけだ。
チッチ監督の獲得タイトル:
ヴェラノポリス:
- カンピオナート・ガウショ – 2部 (1993)
カシアス:
- カンピオナート・ガウショ (2000)
グレミオ:
- カンピオナート・ガウショ (2001)
- コパ・ド・ブラジル (2001)
インテルナシオナル:
- コパ・スダメリカーナ (2008)
- カンピオナート・ガウショ (2009)
- スルガ銀行チャンピオンシップ (2009)
コリンチャンス:
- カンピオナート・ブラジレイロ・セリエA (2011, 2015)
- コパ・リベルタドーレス (2012)
- FIFAクラブ・ワールドカップ (2012)
- カンピオナート・パウリスタ (2013)
- レコパ・スダメリカーナ (2013)
ブラジル代表:
- コパ・アメリカ (2019)