ラ・リーガ、注目の放送・配信試合は?ソシエダvsヘタフェ、レアル・マドリードvsビジャレアル丨第28節

ラ・リーガ第28節が4月6日から9日にかけて行われる。ここでは全10試合の中から、レアル・ソシエダvsヘタフェ、レアル・マドリードvsビジャレアルの2試合をピックアップ。各チームの成績や状況などから試合を展望していく。

ソシエダ vs ヘタフェ

 

チャンピオンズリーグを狙うレアル・ソシエダと、残留争いから抜け出したいヘタフェという構図だ。

 

ソシエダは日本代表の久保建英が所属しているチーム。久保の加入とともに、注目するようになった人も多いだろう。

 

スペイン北部、フランスとの国境にほど近いバスク地方を本拠地としているクラブ。同じくバスク地方に本拠地を置くアスレティック・クラブと同様に、多くのタレントを育ててきた下部組織への評価も高い。過去にはシャビ・アロンソやアントワーヌ・グリーズマンがソシエダからワールドクラスのタレントへと成長。現在のトップチームも約6割の選手が下部組織出身で構成され、アシエル・イジャラメンディ、ミケル・オヤルサバル、マルティン・スビメンディらが活躍している。

 

近年、リーグ内ではヨーロッパリーグ(EL)出場圏内の常連という立ち位置だが、今シーズンはチャンピオンズリーグ(CL)出場が狙える位置につけている。ここまで27試合を戦い、14勝6分7敗の4位。5位のレアル・ベティスとは勝点差3、6位のビジャレアルとは勝点差4という状況だ。

 

直近の第27節では、CL出場を争うビジャレアルに痛恨の黒星を喫した。0-0で迎えた77分、スビメンディがペナルティーエリア内で相手選手を倒してしまい、PKの判定。これを成功させられると、その直後にもニコラス・ジャクソンに決定的な追加点を許した。ソシエダはネットを揺らすことなくタイムアップを迎え、0-2でライバルに敗れた。

 

CL出場権確保のためにも、連敗を避けたいソシエダ。今後の命運を握りかねない試合で、現在14位につけるヘタフェと対戦する。ヘタフェは14位と言えども、降格圏の18位、19位との勝点差はわずか「3」。残留争いは、19位から12位までの8チームが勝点差6の中でひしめき合う大混戦となっている。

 

ヘタフェは残留争いの真っただ中にいるものの、ここ最近の調子はむしろ上昇傾向だ。第24節時点では19位に沈んでいたが、そこから直近の4試合は2勝2分。特に、ヘタフェよりも上位にいるジローナ、セビージャに勝利を収めていることが、復調を示すなによりもの証左だ。

 

前線には残留争いをしているとは思えないタレントを抱えている。エースはセンターフォワードを務めるエネス・ウナル。トルコ人の長身アタッカーはかねてより将来を嘱望されながらも、なかなかブレイクスルーを果たせなかった。その大器が昨シーズン、リーグ戦37試合16ゴールとついに覚醒。今シーズンも27試合13ゴールと昨年を上回るペースで得点を量産している。得点ランキングでもロベルト・レヴァンドフスキ(バルセロナ)、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)の両雄に次ぐ3位だ。

 

そのエースを支えるボルハ・マジョラルとムニル・エル・ハダディ、カルレス・アレニャの活躍も見逃せない。マジョラルはレアル・マドリードの下部組織のアタッカーで、エル・ハダディとアレニャはバルセロナ出身。名門クラブで花を咲かせることはできなかったが、いずれも年代別代表の常連だった選手たちだ。5バックもいとわないチームにあって、彼らの個性が攻撃を彩り、ウナルへの得点機会を提供している。

 

試合の構図はボールを握るソシエダに対し、引いて守るヘタフェというものが予想される。やはり上位争いをしているだけあって、総合的な力はソシエダの方が高い。ソシエダは今シーズン加入した195センチの体躯を誇るアレクサンデル・セルロートが基準点となり、久保やダビド・シルバ、ブライス・メンデス、オヤルサバルら2列目の技術を活かすのが得意の形。引いた相手をどう崩すかが試合のポイントだろう。

 

ヘタフェとしてはきっちり受けきったあと、少ない手数で前線の選手たちにボールを供給する展開を狙う。とはいえ、ウナルめがけてロングボールを放り込むだけでは相手も守りやすい。まずは起点となるマジョラルとエル・ハダディにいい形でつなぐことが重要になる。

 

レアル・マドリード vs ビジャレアル

 

もうひとつ、今節最大のビッグマッチとも言えるこの試合も見逃せない。現在2位のレアル・マドリードと、CL出場を狙うビジャレアルの一戦だ。

 

レアル・マドリードは現在、勝点59で首位のバルセロナを追う。第26節の直接対決“エル・クラシコ”で敗れ、勝点差は12。逆転優勝に向けて厳しい状況だ。さらにはミッドウィークのコパ・デル・レイ準決勝で、バルセロナとのセカンドレグを戦う。対バルセロナは目下、公式戦3連敗中と不振が続いている。

 

直近のリーグ第27節レアル・バリャドリード戦では主力を温存しつつ6-1の勝利を挙げた。この戦い方から見ても、コパ・デル・レイに全力を注ぐことは容易に想像ができる。敗戦による士気の低下や、延長戦に突入した場合の疲労の蓄積など、週末のビジャレアル戦に向けて考慮する変数は多い状況だ。

 

対するビジャレアルは1週間を使ってレアル・マドリード戦の準備ができる。スケジュール的には圧倒的に有利な状況だ。また前述の通り、4位ソシエダを4ポイント差、5位ベティスを1ポイント差で追う状況。CL出場に向けて士気は高い。

 

現在のフォームも非常に良好だ。ELではアンデルレヒトに敗れて敗退が決まったものの、リーグに限れば直近5試合で4勝1分。直近のソシエダとのシックスポインターを2-0で制したことからも、ビジャレアルを実力や好調ぶりが見て取れる。

 

しかし今シーズンは決して順風満帆ではなかった。2022年10月、クラブ初のCLベスト4やEL制覇をもたらしたウナイ・エメリ監督がアストン・ヴィラに引き抜かれる形で電撃退任。ポゼッションを信奉するキケ・セティエン監督が新たに就任したものの、老獪な戦いをするエメリ監督とは方向性が異なることもあって、低空飛行が続いた。2023年1月末からはリーグ戦4連敗を喫し、解任説もささやかれていた。今ではそれを一蹴するような好調ぶりを見せている。

 

試合の構図はボールを持つビジャレアル、がっぷり四つで受けるレアル・マドリードという形になりそう。今シーズンはリーグで1度、カップ戦で1度対戦しており、対戦成績は1勝1敗の五分。1月7日のリーグ第16節は2-1でビジャレアルが、1月19日のカップ戦ではレアル・マドリードが3-2で制した。3度目の対決も僅差の試合が予想される。

 

ビジャレアルはエースのジェラール・モレノの欠場が濃厚だが、35歳のベテランFW、ホセ・ルイス・モラーレスが6得点とまずまずの数字を残している。それにサミュエル・チュクエゼ、ジェレミー・ピノといった新進気鋭のアタッカーがどう絡んでいけるか。コンディションで上回っている分、MFのアレックス・バエナやラモン・テラツにはチャンスメイクはもちろん、守備の強度でも相手を上回りたい。

 

レアル・マドリードは相手の出方を伺いつつ、試合の中で最適解を導き出せることが強みだ。そういったいわば横綱相撲の戦いにおいて、ピッチ上の指揮官となるのがルカ・モドリッチであり、トニ・クロースだ。彼らがチーム最大の武器である左ウイング、ヴィニシウス・ジュニオールをどう活かすのかに注目したい。

 

ラ・リーガの放送、配信

 

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