FIFAがワールドカップ2022で登録選手枠を拡大した理由
カタールで開催されるワールドカップ2022は、これまでのFIFA男子主要大会とは違うユニークな大会になりそうだ。
中東の小国を舞台に行われる2022年大会は、カタールの酷暑を避けるために11月から12月にかけて開催される。つまり、ヨーロッパなどの主要リーグではシーズン途中に大会が行われるため、各クラブや各国代表チームは今まで経験したことのない課題に直面することになった。
この異例とも言えるスケジュールへの対応をサポートするため、FIFAは大会規定を大幅に修正。そのひとつが2022年大会出場チームの登録選手枠を増やすことだった。
主な修正点は以下の通り。
- 最終登録リスト:26人(従来は23人)
- 予備登録リスト:55人(2018年大会は35人)
- 控え選手:15人(従来は12人)
- 交代枠:1試合につき5人(従来は3人)
ワールドカップ2022出場チームの登録選手枠
FIFAは6月23日、ワールドカップ2022出場各チームの最終登録選手枠を23人から26人に増やすことを発表した。
さらにFIFAは、各チームの「予備登録リスト」も55人に拡大することを承認。これにより大会直前の選手変更や、決勝トーナメントを見据えて負傷者を入れ替える際の選択肢が広がった。
また、控え選手の人数も同じく変更され、これまでの12人から15人に増加。ベンチ入りできるのは26人(先発11、控え15)となり、チームスタッフも最大11人まで認められることになった。
ワールドカップ2022で登録選手枠が拡大された理由
今回の変更に至った理由について、FIFAは次のように説明している。「FIFAワールドカップ2022が特殊な時期に開催されること、そして大会前および大会期間中に出場各チームが受ける新型コロナウイルス感染症の深刻な影響も考慮し、さらなる柔軟性を維持する必要があった」
登録選手枠が23人から26人に拡大された背景には、選手の負担や故障のリスクを可能な限り軽減したいという2022-23シーズン特有の事情がある。
2022年大会が11月から12月にかけて開催されるため、各国リーグは通常より5週間短い日程でシーズンの全試合を消化しなければならなくなった。これでは選手たちの疲労が極限まで蓄積してしまい、クラブレベルでの対応は極めて難しいことが予想された。
FIFAはまず、ヨーロッパを始めとする多くの主要リーグですでに導入されていた「5人交代制」を承認し、今回のワールドカップで試合中の交代人数を3人から5人に増やす方針を決定した。
また、ワールドカップの登録選手枠拡大が正式決定する以前の2021年には、欧州選手権で同様の試みが行われている。こちらは1チーム26人で構成し、各試合に出場登録できるのはそのうち23人となっていたが、FIFAワールドカップ2022では先発11人、控え15人の26人全員がベンチに入ることができる。
ワールドカップが通常の6月~7月開催に戻された後、登録選手枠も従来と同じ23人になるかどうかは現時点で未定となっている。
各選手がワールドカップ2022に向けてクラブを離れるのはいつ?
ワールドカップ2022は現地時間11月20日に開幕。初戦では開催国カタールとエクアドルが激突し、12月18日に決勝が行われる。
FIFAが登録選手枠の拡大と同時に発表した内容によると、各クラブが所属選手を試合に起用できるのは11月13日(日)まで。代表招集を受けている選手については、11月14日(月)までに各国代表へ送り出さなければならない。これらの選手がクラブに戻ってくるのは、ワールドカップを敗退もしくは優勝した後になる。
ワールドカップによって5週間の中断期間が生まれるため、各国リーグでは日程の調整を余儀なくされたものの、それぞれ対応が異なっている。
プレミアリーグは8月に例年より1週間早く開幕し、ワールドカップ終了直後の12月26日にはリーグ戦を再開する。
ラ・リーガは開幕を1週間前倒しにしていないが、12月末にはリーグ戦を再開。そのまま来年6月までシーズンを戦い続ける。
ドイツ・ブンデスリーガもプレミアリーグと同じく開幕を1週間早めたが、いつものようにウインターブレークを挟んで来年1月末にリーグ戦を再開する。