“神童”那須川天心、勝って当然のプレッシャーの中でプロボクシング2戦目に挑む…対戦相手はメキシコ・バンタム級王者ルイス・グスマン
9月18日(月・祝)、有明アリーナ(東京都江東区)で「Prime Video Presents Live Boxing 5」が開催される。Amazonプライムでも配信される注目のイベントでは、いずれも“メイン”を張れる4試合が行われる。
第1試合
- アンソニー・オラスクアガ(アメリカ合衆国)vs.ジーメル・マグラモ(フィリピン)
第2試合 WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
- 中谷潤人(MT)vs.アルジ・コルテス(メキシコ)
第3試合
- 那須川天心(帝拳)vs.ルイス・グスマン(メキシコ)
第4試合 WBC・WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ
- 寺地拳四朗(BMB)vs.ヘッキー・ブドラー(南アフリカ)
イベントは18時にライブ配信開始。王座が移動する可能性のあるタイトルマッチは、ボクシングにおいて重要度の高い試合となるが、そのビッグマッチを差し置き、最も注目されているのが20時前後に始まる第3試合、那須川天心とルイス・グスマンの一戦だ。
キックボクシングの“神童”
那須川天心(25)は東洋太平洋スーパーバンタム級8位。当初は9戦全勝7KO、メキシコ若手ホープのファン・フローレス(23)と対戦する予定だったが、新型コロナウイルスに罹患。急きょ、メキシコ・バンタム級王者ルイス・グスマン(27)と対戦することになった。ファン・フローレス、ルイス・グスマンともに優れたファイターではあるものの、この試合が注目される理由が那須川天心にあることは明白だ。
千葉県松戸市の那須川天心は5歳で空手を始め、小学5年生の時に極真空手ジュニア世界大会で優勝を果たす。その後、キックボクシングに転向。アマチュアで数多くのタイトルを獲得すると、満を持してプロデビューする。2015年にRISEバンタム級王座を獲得すると、BLADE FC JAPAN CUP 2015 -55kgトーナメントを全試合KOの完全優勝。2016年12月には総合格闘技のRIZINへ初出場する。まさに“神童”。キックボクシングはもちろん、総合格闘技でもスターの座を確固たるものにしていたが、那須川天心の挑戦は止まらない。2021年4月にボクシング転向を宣言すると、翌年6月にキックボクシング・ラストマッチを迎える。この試合でK-1スーパーフェザー級王者の武尊(たける)と対戦。判定勝ちで有終の美を飾った。
那須川天心とボクシング
那須川天心のボクシングは衝撃ではあったものの、唐突ではない。極真カラテ時代、Tokyo2020ボクシング女子フライ級銅メダルの並木月海も同門であったことも有名なエピソードだが……。やはり、2018年12月のRIZIN.14で行われたエキシビションマッチ、ボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ合衆国)との一戦が伏線となっている。
メイウェザーは50戦50勝で無敗のまま引退。史上最強(TBE:The Best Ever)のボクサーではあるものの、那須川天心との試合はもう1つの通称“金の亡者”らしい茶番だと思われていた。しかしボクシングルールで行われた試合は、メイウェザーの圧勝。那須川天心は1回2分19秒TKO負けという屈辱を味わう。那須川天心にとってボクシング転向は雪辱の場にほかならないのだ。
合わせて井上尚弥(30)の存在も大きいとされる。同じ軽量級の日本人ながら、聖地・ラスベガスでもリスペクトされる存在。プロボクサーとして4団体統一王者、4階級制覇と偉業を成し遂げる“モンスター”を、那須川天心はロールモデルと考えているようだ。
那須川天心、プロボクシング2戦目は?
那須川天心は帝拳ボクシングジムに入門。2023年2月にプロテスト合格を果たす。デビュー戦は4月。日本バンタム級2位の与那覇勇気(真正)とのスーパーバンタム級6回戦を行い、判定勝ちを収める。プロボクシングのデビュー戦ながら、これまで培ってきた格闘センスは本物だと示した。
ルイス・グスマン戦はプロボクシング2戦目。これまで数々のタイトルを獲得し、メイウェザーとも拳をまじえた那須川天心に対し、経験不足などの不安要素を挙げるのは不適当だ。
勝って当然。文句なしの内容で、さらなる強敵へのステップアップにできるか。那須川天心はリング上のルイス・グスマンだけでなく、リング外で高まるファンの期待感にも立ち向かうことになる。