WBC 2023先発投手陣の国別戦力トップ5
2023年3月、野球世界一を決める国際大会、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(2023 World Baseball Classic™|以下WBC)が開催される。
ここでは出場各国別の先発投手陣の戦力を分析し、今大会開幕前時点のトップ5を格付けする。
5位 メキシコ
先発投手ローテーション要員:フリオ・ウリアス、ホセ・ウルキディ、パトリック・サンドバル、タイフアン・ウォーカー、エイドリアン・マルティネス
格付けの理由:「なんて凄い投手陣だ。5位より上に格付けするべきだろう」と思うかもしれない。私もそう思う。しかし、一体どのチームを下げるべきなのだろうか。今回のWBCでは投手陣が全体的にとてもレベルが高いのだ。MLB以外の打者たちにとっては厳しい大会になることはほぼ間違いがないと気の毒にさえ感じる。
4位 アメリカ
先発投手ローテーション要員:マイルズ・マイコラス、ブレイディ・シンガー、ランス・リン、アダム・ウェインライト、メリル・ケリー、ニック・マルティネス
格付けの理由:もし162試合制シーズンの先発投手ローテーションを選ぶとしたら、アメリカ代表チームのそれは最高に格付けされるだろう。しかし、WBCのような短期決戦ではやや事情が変わってくる。そこではいかに空振りを奪うかが大きな要素になるが、このグループはその点ではトップ3チームに比べるとやや劣る。
3位 ベネズエラ
先発投手ローテーション要員:パブロ・ロペス、マーティン・ペレス、エドゥアルド・ロドリゲス、ルイス・ガルシア、 ヘルマン・マルケス、カルロス・ヘルナンデス
格付けの理由:ベネズエラはそれぞれのチームで先発投手ローテーションの1番手かそれに近い役割を務める投手を4人も抱えている。ガルシアはそうではないが、それは所属するヒューストン・アストロズの投手陣の層が極めて厚いからに過ぎない。
ガルシアはここまでのキャリアで57試合に先発登板し、防御率は3.57だ。昨年10月のアメリカン・リーグ・ディビジョナル・シリーズでシアトル・マリナーズを5イニング無失点に抑えたところを見ると、大舞台にも強いようだ。ロペスはミネソタ・ツインズの新しいエースとして大物入りで移籍入団したばかりだ。ペレスは昨シーズン、テキサス・レンジャーズで素晴らしい成績を残した。デトロイト・タイガースのロドリゲスは数か月を故障者リスト入りしたものの、シーズン終盤は力強い存在感を示した。そしてマルケスはコロラド・ロッキーズで先発投手としてのキャリアは7年を数え、4.01 FIPという立派な通算成績を残している。
2位 ドミニカ共和国
先発投手ローテーション要員:サンディ・アルカンタラ、クリスチャン・ハビエル、ジョニー・クエト、ロアンシー・コントレラス
格付けの理由: この先発投手ローテーションはナショナル・リーグのサイヤング受賞者(アルカンタラ)で始まり、昨年のワールドシリーズで6イニング無安打無失点の好投を演じた投手(ハビエル)と続く。それだけでも凄いことであるが、まだまだある。ベテランのクエトは昨シーズンもシカゴ・ホワイトソックスで健在ぶりを見せつけた。2023年はマイアミ・マーリンズでアルカンタラのチームメイトになる。そしてコントレラスはピッツバーグ・パイレーツに所属しているというだけの理由で一般の注目度は低いが、昨シーズン18試合に先発登板し、防御率3.81の成績を残した。
ここではブルペンは格付けの要素には入れていない。それでもドミニカ共和国の救援投手たちについては語っておくべきだろう。なぜなら、このチームの先発投手はだれも5イニング以上を投げる必要がないのだ。なにしろ、ブライアン・アブレイユ、カミロ・ドバル、ラファエル・モンテロ、ヘネシス・カブレラ、ディエゴ・カスティーヨ、カルロス・エステベス、イーミ・ガルシア、ホセ・ルクラーク、ヘクター・ネリス、そしてグレゴリー・ソトが控えているのだから。もはや不公平感さえ漂うブルペン陣容である。
1位 日本
先発投手ローテーション要員:大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸、佐々木朗希、今永昇太
格付けの理由:大谷翔平がWBCでどのように起用されるかについては明らかではない。どうやらロサンゼルス・エンゼルスからは制限はなにもついていないようだ。クローザー役を務めるという噂もあるが、そうすると同時に指名打者として出場できなくなるかもしれない。7回や8回に走者として塁に出てしまうと、ブルペンで投球練習をすることが困難になるからだ。そうなると、1試合か2試合に先発登板することが合理的のようだ。
たとえ大谷が一度も先発登板しないことになったとしても、日本の先発ローテーションは恐るべきものだ。知っての通り、ダルビッシュは大ベテランだが、2009年に初出場して以来、WBCには並々ならぬ熱意を見せている。佐々木は恐るべき21歳でまさに無敵だ。
そして山本はひょっとすると日本最高の先発投手かもしれない。2021年は26先発登板で防御率1.39、昨シーズンは26先発登板で防御率1.68の驚異的な成績を残した山本はまだ24歳である。さらに、サウスポーの今永は24先発登板で防御率2.04である。日本は2006年と2009年にWBC優勝をはたした。2013年と2017年は3位で終わった。この先発ローテーションは日本が王座奪回を図るには十分すぎるほどである。